昨日、参議院議員会館で掲題の集会があり、主催者の求めに応じてメッセージを寄せましたので、以下に掲載します。

 2012年に録音・録画の違法ダウンロードが議員修正で刑事罰化されたときに、日本の著作権法の底が抜けたと、わたしはみています。底が抜けたとは、審議を尽くさないまま、政治主導で法改正をするようになったということです。保護期間延長がその悪い例です。

先の法制・基本問題小委員会で、とても残念だったことがふたつあります。ひとつは、少なくない委員が審議の継続を求めるなか、事務局が強引に議論を打ち切ったことです。ダウンロード違法化拡大のための法改正を、とにかく今国会で行うというスケジュール以外に、審議を打ち切る理由はなかったようです。

もうひとつは、パブリックコメントで出された国民の懸念に対して、「価値ある創作活動が行われ得るといった理由により、違法にアップロードされた著作物の利用を正当化することには疑義がある」と、事務局が切り捨てたことです。

「価値ある創作活動が行われ得る」からこそ、その可能性が失われることがないよう、議論を尽くしてセーフガードを用意することが、行政と政治の役割であるはずです。

ネット社会を生きる国民は、流通する著作物を、提供された方法で、ただ消費するだけの存在ではないのです。著作物をダウンロードし、手を加えたものをアップロードし、それをまたほかの誰かがダウンロードして加工し、といった連句のような創作のつながりを、何の不安もなく楽しめる社会を作ることが、日本文化に根ざした「知財立国」なのではないでしょうか。